事業再構築補助金で不採択。再申請の前にやるべきポイント
事業再構築補助金は、新型コロナウィルス感染症の影響により、事業継続が難しくなった企業様に向けて、新分野での事業展開を支援するための補助金です。直近では新型コロナの影響に加えて、ウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている企業を対象に、危機に強い事業への事業再構築の取組を支援する内容となっています。
本記事では事業再構築補助金を申請したものの、不採択となってしまった方に向けて、再申請の前にやるべきポイントを考えていきます。
不採択になっても再申請ができる
事業再構築補助金では、グリーン枠を除いて何回も補助金の交付を受けることはできません。
採択結果がでるまで重複して申請することはできませんが、第1回~第7回公募で不採択となった場合には、
採択結果が発表された日以降に再度申請することが可能となっています。
不採択になっても申請内容を見直し、再チャレンジすることが可能です。
事業再構築補助金の採択率は?
弊社での支援での多くは通常枠、回復・再生応援枠、緊急対策枠の3枠が主となっています。
第7回公募の結果で見てみると、
通常枠(採択率47%)
緊急対策枠 (採択率55%)
回復・再生応援枠 (採択率 62%)
の順に採択率が高くなっています。
事業再構築補助金が不採用になったときの対応
①事務局に不採択理由を問い合わせる
申請した事業計画がなぜ不採択になったのかは、事務局へ問い合わせると教えてもらえます。
事務局担当から申請内容に対して審査員のコメントをフィードバックしてくれますのでメモをしておきましょう。
採択直後は事務局が混み合って繋がりづらいケースがあります。土曜日もコールセンターにつながります。
②次回の締め切り日を確認
最新回の公募要領を見直し、再申請する場合の日程を確認しましょう。
回によって改訂がある場合があります。
③コメントを参考に事業計画書を修正
事務局から確認した不採択理由をもとに事業計画書のどこを修正していくか、
内容を検討していきます。
よくある不採択コメント
ここでは審査員による「事業化点」「再構築点」についてのマイナスコメントの例について紹介します。
「事業化点」
・事業化に向けて競合他社の状況を把握することを通じて市場ニーズを考慮している旨を明確に記載するとより良い
・事業の目的に沿った事業実施のための体制面から、補助事業を適切に遂行できる旨を明確に記載するとよりよい。
・補助事業として費用対効果が高いことを明確に記載するとよりよい。
・事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当である旨が記載されているとよい。
「再構築点」
・事業再構築指針に沿った取り組みであることを明確に記載するとより良い
・市場ニーズや自社の強みを踏まえ、選択と集中を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取り組みである旨を明確に記載出来るとよりよい
・先端的なデジタル技術の活用を、新しいビジネスモデルの構築を通じて地域のイノベーションに貢献できる旨が記載されているとよりよい
・自社の強みを分析し、事業再構築の方針をより明確に記載できるとよい
・新型コロナウィルスにより変化した市場ニーズを分析の上、それに対応できる新規事業内容を記載するとよりよい
再申請に向けての対策
不採択コメントについては基本的には「審査項目」に明記されている内容が指摘されています。
審査項目を見直し、作成した事業計画にて審査項目の取り組みとなっているか見直していきましょう。
9回公募要領 審査項目・加点項目
(1)補助対象事業としての適格性
「4.補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%(【グリーン成長枠】については 5.0%)以上の増加等を達成する取組みで
あるか。(2)事業化点
① 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な
資金の調達が見込めるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。② 事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。
市場ニーズの有無を検証できているか。③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解
決方法が明確かつ妥当か。④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハ
ウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。(3)再構築点
① 事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。※複数の事業者が連携して
申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も考慮し採点します。② 既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や
緊要性が高いか。③ 市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。
④ 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。
⑤ 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。
(4)政策点
① ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに
資するか。② 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。
③ 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
④ ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格40な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有
しているか。⑤ 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を
牽引する事業となることが期待できるか。⑥ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組む
ことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。(5)グリーン成長点(グリーン成長枠に限る)
(研究開発・技術開発、人材育成共通)
① 事業再構築の内容が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組となっているか。(研究開発・技術開発計画書を提出した場合)
② 研究開発・技術開発の内容が、新規性、独創性、革新性を有するものであるか。③ 研究開発・技術開発の目標が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題に基づき適切に設定されており、目標達成のための課題が明確で、その解決方法が具体的に示されて
いるか。④ 研究開発・技術開発の成果が、他の技術や産業へ波及的に影響を及ぼすものであるか。
(人材育成計画書を提出した場合)
② グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する事業再構築を行うために必要性の高い人材育成を行う計画となっているか。③ 目標となる育成像や到達レベルの評価方法などを含め、具体的かつ実現可能性の高い計画が策定されており、また、人材育成管理者により、その進捗を適切に把握できるものと
なっているか。④ 人材育成を通じて、被育成者が高度なスキルを身につけることができるものとなっているか。また、身に着けたスキルを活用して、企業の成長に貢献できるか。
記載ポイント
上記の不採択理由のコメント、審査項目を考慮しながら、以下のような項目を事業計画へ盛り込んでいきます。
- 事業再構築要件をクリアしているか
- 申請者の特徴
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
- 事業再構築の必要性
- 新規事業におけるSWOT分析
- 新規事業の概要
- 新規事業のサービス内容
- 他社との差別化ポイントや優位性
- 事業実施における体制図
- 事業実施までのスケジュール
- 想定するターゲット顧客
- 市場規模
- 先端的なデジタル技術の活用
- 地域貢献や企業連携
- 投資内容
- 収益・資金調達計画
まとめ
事業計画の作成や書類作成で困ったことがあった、申請をしたけど不採択となってしまった場合など、補助金申請のプロフェッショナルによる申請支援を利用するのもおすすめです。
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